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2009/05/09
もやしとトイレ掃除のカンケイ


食品メーカーサイトの歩き方

File1.株式会社サラダコスモ

●もやし栽培とトイレ掃除のカンケイ

初回からいきなりトイレ掃除なんて書いて恐縮だが、どうかそのまま読んでいただきたい。
5月7日、常備菜の「豆もやしとにらのラー油あえ」を作ろうと思って近所のスーパーで購入したのが、サラダコスモの「子大豆もやし」。小粒納豆に使われる子大豆はえぐみがなく、香りがよくて食べやすかった。
このモヤシを生産しているのがサラダコスモ(長野県駒ヶ根市)。もやしをはじめ、カイワレ大根などのスプラウト(発芽野菜)や国産チコリを生産・販売している会社。日本に1000社ほどあった、もやし屋のなかでは後発だったようだが、無添加・無農薬・無化学肥料栽培に取り組み、いまや業界でトップクラスに成長している。

同社のホームページhttp://www.saladcosmo.co.jp/を訪ね、「子大豆もやし」の栽培のこだわりを読むと、長野県駒ヶ根市の信州中央アルプスの伏流水で栽培されていることが分かった。子大豆もやしは93%が水分。「おいしいのは、もやしが健康だからです」と書いてある。今までもやしの健康なんて考えたこともなかったけど、世の中には「おいしいもやし」と「イマイチなもやし」があると思う。漂白剤のにおい微かにしただけで、なぜ、もやしを白く見せる必要があるんだろう?と暗澹たる気持ちになる。今回食べた「小大豆もやし」は素直においしかったので、「おいしいもやし」と「イマイチなもやし」の違いもサイトを見ながら探ってみたくなった。

同社のホームページは「SPROUT(新顔野菜の紹介)」「PECIPE(サラダコスモのスプラウト料理レシピ)」「FEELING(サラダコスモの気持ち)」「PLANNING(サラダコスモ発!)」という4つの柱で構成されている。

◆3ステップレシピが豊富「ことわざからレシピ」
PECIPEをクリックすると「ことわざからレシピ」http://recipe.saladcosmo.co.jp/が上段に配置されているのが面白い。先人たちに食の知恵を学ぼうという切り口。なかなか知的なのである。ちなみに5月のことわざは「筍の親まさり」で、解説を読むと「筍はとても成長が早く10日ほどで竹になることから、竹の旬(十日を意味する)と書いて筍になったんだとか。筍の旬は桜前線を追いかけて旬を迎えます。桜前線の1日〜10日後に筍前線がやってきます。今が旬の筍と春野菜のスプラウトレシピです」とあり、発芽野菜とたけのこを使ったレシピが紹介されている。「発芽大豆とたけのこの炊き込みご飯」は、3ステップで作りやすい。
「ブロッコリーの新芽 ツナコロッケ」など、料理名だけでは少し難しそうな印象があるが、3ステップで気取ってないレシピが多くて使いやすそうだ。自炊をはじめたばかりの大学生でも作れそうな簡潔な手順の料理がたくさんある。
あえてリクエストをするならば、もやしやかいわれ大根は2回に分けて使うとダメにしてしまうことがあるので、新芽野菜の上手な保存方法が知りたい。

◆婚活にも使える!?求める人材像
そろそろトイレ掃除の話をしよう。サラダコスモの核心は「採用情報」にあった。「採用情報」のページhttp://www.saladcosmo.co.jp/company/recruit.htmlへ飛ぶと、冒頭の一文が「会社を選ぶのは、結婚相手を決めるのと同様です」とある。結婚相手ときたか。東京に暮らしていると転職に対するハードルが低く、就職と結婚のイメージが若干離れているように感じるが、就活中の人なら背筋がぴんとのびる言葉だと思う。

さらに「もとめる人材像」の本文には、同社が大切にしていることとして「挨拶ができる。履物をそろえられる。掃除ができる」と3つの条件を挙げている。当たり前のことだけど、これがなかなか奥が深い。そのまま婚活の条件に置き換えてたら、いい人が見つかりそうだ。

◆入社式の恒例行事はトイレ掃除
「新入社員を追え!」では、ここ数年どんな人が採用されたのか顔をチラリと見ることもできる。「4月2日晴れ。強風と春の光、トイレ掃除で入社式」http://www.saladcosmo.co.jp/feeling/newface/n20090407-01.html
は、すがすがしい。入社式で掃除するのは、会社のトイレではなく市民公園近くの公衆トイレなのだ。昔から中津川では「商いをする相手は、その会社のトイレを見て選べ」という言い伝えがあることや、トイレ掃除の哲学が書いてある。旅のガイドでいえば、このページは「見どころ」の1つ。新入社員を応援したくなってしまう。ぜひ読んでほしい。

◆食べものから伝わること
「おいしいもやし」になるか「イマイチなもやし」になるかの分かれ道は、会社の理念が大きな影響を与え、そこで働く人が心身ともに健康であるかどうかに関わっていると考えられる。第1回の「食品メーカーサイトの歩き方」としては、できすぎている感もあるが、食の安全性が問われる今だからこそ、消費者と企業をつなぐホームページを読み解く意味は大きい。

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